臨床宗教師

【臨床宗教師とは】

幅広い宗教の知識と死生観に基づいた対人援助を実践する宗教の専門家です。
生きることや、死に関するさまざまな精神的難題に対し、他のケースワーカーと職種連携の一翼を担い、必要であれば、布教活動とは一線を画した「宗教的ケア」を提供します。

【宗教的ケアとは】

成立教団の教理教則ではなく、死中求活のなかでうまれた祈りの力を主にして、さらには、対象の人が大切にしている信仰や、聖なるものに対する想いを重んじながら、漠然とした不安や、老い病い、そして死への恐怖を和らぎ、宗教的な安楽が得れるように支援することです。

【臨床宗教師の母体】

…東北大学大学院、人文学研究科、実践宗教学寄附講座。

東日本大震災以降、被災者ケアの観点から各機関が立場の違いを超えて連携しました。そのような状況の中、宗教的なケアを必要とする被災者が多くいることを受け、中立性を担保できる国立大学に寄附講座を設け、悲嘆の現場で、より実践的にケアできる宗教師を育成しています。

【臨床宗教師の倫理】

「実践宗教学寄附講座運営委員会」は「臨床宗教師倫理綱領」を設け、その活動を律しています。特に公共性を最重視しており、宗教的価値観の押し付けや、布教、伝道を目的とした活動、安易な宗教的指導やアドバイスなど厳しく制限しています。

【臨床宗教師への思い】

臨床宗教師研修では、志の高い超宗教の宗教者が集まり研鑽を積みました。それぞれの宗教者が備えている祈りの力、それは本当に尊いものでした。その反面、世の中は宗教を非科学的で生産性の無い奇異な団体と見る傾向を強め、その結果、死生観を失ってしまいました。そして、死についての考察をおろそかにしたまま死を敗北と捉え、絶望したままに臨終を迎える人も少なくありません。臨床宗教師として、死の苦悩を深く考察し続け、死の苦悩に絶望する人に寄り添い、少しでも残された時間が豊かなものになるよう勤めたいと、私はそのように思っています。

修了式 東北大学大学院文学研究科、大渕憲一研究科長より修了証書授与
(おしりからシャツが出ているのが情けない…)
清水寺フォローアップ研修 最前席で真面目に講義を受ける吉田

令和3年度活動報告