介護すると幸せになれるか?
家族が歳を重ね介護が必要になったとき、近親者の正直な気持ちとしては、「これは困ったものだ!」と途方に思う人が多いと、ある調査で示されています。確かに介護はたいへんなことで多くの困難に見舞われます。では、もし家族の介護を引き受けなければならなくなったとき、どのような心構えが必要でしょうか。
最近の脳科学で解明されていることの一つに、他人と自分を比較する脳の働きと、他人のことを想像する脳の働きが同時に働いた時におこる感情が「共感力」であり、この感情には「ドーパミン」という神経伝達物質が強く関わっていて、ドーパミンは「幸せをよぶ脳内物質」ともいわれています。
これらをひらたく考えると、介護に必要な心構えには「共感力」が重要であり、介護をするということは、私たちの脳内で働く幸せ物質のドーパミンによって共感力が活性化し、自らも幸せを感じることができる、というわけです。
私たち人間は、困った人を助けたくなる性分を備えていると古来より考えられていて、これを仏教では「慈悲心」といいます。
慈悲心とはまさに、相手のことを想像し、相手のことを思いやり、相手のために尽くすことであります。そのような善い行いは必ず、自分に巡り帰ってくることでしょう。